2017年05月10日

子規の俳句③落したか落ち足るか路の椿かな

椿.jpg

落したか落ちたか路の椿かな

自選句集「寒山落木」巻一に収録。明治23(1890)年です。前回に続いてこれまた初期作品です。

椿が見ごろを迎えた春の道。歩いているとふと落花の気配が。あれ?俺が落としちゃったの?いや落ちたんだよね?もしかして美しい椿を落としてしまったんだろうかと申し訳なさを感じているような。そういう読みでいいのかな。

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漱石の落椿

椿は「散る」より「落ちる」がしっくりきますね。夏目漱石にもこんな句があります。

落椿重ね合ひたる涅槃かな

大正3(1914)年ごろ使っていた手帳に記されていた句だそうです。さすがに晩年の漱石の句の方が格調高い感じがします。落ちる椿と言えば「草枕」にもこういう一節があります。

「見てゐると、ぽたり赤い奴が水の上に落ちた。静かな春に動いたものは只此一輪である。しばらくすると又ぽたりと落ちた。あの花は決して散らない。崩れるよりも、かたまつたまま枝を離れる。枝を離れるときは一度に離れるから、未練のない様に見えるが、落ちてもかたまつて居る所は、何となく毒々しい。又ぽたり落ちる。あゝやって落ちてゐるうちに、池の水が赤くなるだらうと考えた(中略)又一つ大きいのが血を塗つた、人魂の様に落ちる。ぽたりぽたりと落ちる。際限なく落ちる」(夏目漱石「草枕」)

「あの花は決して散らない」。そう。花の形を残したまま落ちますよね。それにしても印象的な場面だったなあ、ここは。

碧梧桐の名句

落椿では河東碧梧桐の有名な句がありますね。

赤い椿白い椿と落ちにけり

子規が明治27年に写生の概念に目覚めてから2年。「明治二十九年の俳句界」でこの句を「印象明瞭」と高く評価。革新が佳境を迎えつつあったことを感じたのでした。不朽の名句と言っていいでしょう、きっと。同じ明治29年の子規にはこんな句があります。

ひねくりし一枝活ける椿かな

「寒山落木」巻五に入っている一句。枝がくねくねした椿がありますよね。ちなみに高浜虚子が選句した「子規句集」は、この句を採用しています。まとまりのない話をしてしまいました。すみません。写真を載せたくなったから考えをまとめないまま書きました。去年の撮影ですが…

参考文献「子規全集」(講談社)1、2巻。子規句集(岩波文庫)、「漱石全集第三巻『草枕』」(岩波書店昭和4年版)

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posted by むう at 09:37| Comment(0) | 子規の俳句・短歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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