2017年07月08日

文アルで学ぶ子規と鴎外

双筆神髄:森鴎外と正岡子規.png

みなさんこんにちは。今日で文アル3日目。文豪は6人増えて27人となりました。中でも森鴎外が加わったのは嬉しかったです。だって鴎外がカッコイイから!…ではなくて子規との絡みがゲーム中で再現されるに違いないと楽しみだったんです。

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戦地で出会った子規と鴎外

新聞「日本」の記者だった子規は明治28(1895)年4月、日清戦争の従軍記者として金州(現在の大連市金州区)へ赴きました。しかし子規が上陸した2日後の4月17日に講和条約が結ばれたため、現地で戦争の光景を見ることはありませんでした。終戦直後の荒れ果てた様子を目の当たりにした子規は「陣中日記」を書いて「日本」に送りましたが、大陸への途上で従兄弟藤野古白の自殺の知らせを受けたことや軍部の扱いのひどさに憤慨して早々に帰国の決意を固めます。

勇んで海を渡ったのですが、この従軍自体が病躯の子規には大きな負担でした。帰りの戦中で大喀血し、命を大きく縮めることになりました。一方で大きな収穫もありました。近衛師団付きだった子規は第二軍兵站部軍医部長だった鴎外の知遇を得ることができました。鴎外は子規の訪問を日記に記し、のちに柳田国男に毎日のように訪ねてくる子規と俳句を作ったと語ったそうです。

鴎外図鑑トリミング.png

鴎外は子規より5つ年上。明治23~24年に「舞姫」「うたかたの記」「文づかひ」のドイツ三部作を発表、坪内逍遙と論争を繰り広げるなど既に盛名を得ていました。子規も26年に「獺祭書屋俳話」を発表し俳句革新に着手していましたが、俳句革新が本格化するのは日清戦争従軍後、松山での療養を経て「俳諧大要」を発表してから。子規にとっては年齢的にも文学的にも偉大な「先輩」でした。

鴎外、子規庵の句会に参加

戦地で子規と俳句談義を交わした鴎外は翌明治29年1月3日、子規庵での句会に参加しました。この日は漱石も出席しました。つまり鴎外と漱石は子規を通じて出会ったのです。

この日の句会稿を見ると、ほかの出席者は高浜虚子、河東碧梧桐のほか内藤鳴雪(松山藩の重臣、子規たちが暮らした常磐会寄宿舎の監督)、五百木飄亭(子規の同僚)、河東可全(碧梧桐の兄)。鴎外、漱石以外は松山出身者だけでした。のちに子規派の人々は、鴎外がこの月に創刊した「めざまし草」に俳句や評論を寄稿し、誌面を盛り立てるのに一役買いました。鴎外は子規に「句及び評論にて大に光彩を加へ大幸福に御座候」と、俳句を添えたお礼の手紙も出しています。

俳人鴎外の実力は?

さてこの日ですが、運座を3回開いていました。句会稿は、浄書した提出句の上に取った人、下に作者が記されています。点の入らなかった句の作者はほとんど判明していません。何度か目を通したのですが、鴎外の句で選ばれたのは、一句のみでした。

おもひきつて出で立つ門の霰哉

選んだのは鳴雪と碧梧桐。碧梧桐は「天」に取っていました。同じ霰の題で子規が詠んだのは「湖の氷にはぢく霰哉」。取ったのは漱石だけで「秀(秀逸)」との評を添えています。さすが仲良し!なんて思って読んでいたら、漱石は「天」にも子規の句「莚帆に雪積む利根の夜明け哉」を取っていました(笑)。

じゃあ子規は誰の句を「天」にしてるのかな…目を走らせると漱石の句でした!「半鐘とならんで高き冬木哉」。そんな2人の仲の良さを見せつけられた鴎外が天に選んだのは碧梧桐の句「うつむいて物申したる寒さ哉」でした。

文アル版鴎外の手紙

そう言えば、ゲームの世界でも鴎外から子規に手紙が届きました。

鴎外子規手紙トリミング.png

初参加の句会でふるわなかった鴎外。汚名返上とばかりに「転生」してからも頑張っているんですね。ゲーム中で子規が俳句を読み上げるのも楽しい。出てくる俳句は日清戦争当時に詠んだものもあれば若き日の句もあります。例えば「行かば我筆の花散る処まで」は、金州に向かって船で出発するときに詠んだ句。「一日の旅おもしろや萩の原」は明治22年。「技巧的だから」と若いころの子規俳句に厳しい虚子が珍しく好きだと言っていた句です。

このゲーム、登場人物の関係や作品を知っていると楽しさが倍増しますよね。ゲームから興味を持って調べたり、作品を読んだりする人もいることでしょう。これまでにも言われて来たことだとは思いますが、近代文学への入り口を大きく広げてくれる貴重なゲームですね。私だって、この数日、足の踏み場もない倉庫と化した部屋で「有碍書」になっている作品を引っ張り出しては読み直そうかと思ってウズウズしてしまいましたからね。でも今は、早く漱石が転生してくれないかなと思ってしまってパソコンとにらめっこです。
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主な参考文献「子規全集」十五、二十二巻、別巻一


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posted by むう at 21:09| Comment(0) | 文アル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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